お寺 ひきこもり 双極性障害

【和尚編】ひきこもりだった私が禅寺へぶち込まれた話(3)

超越した存在の和尚さん

だるま
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こんにちは、静寂です。
和尚さんは私の想像の上をいく人でした。
今でも心の師として尊敬しています。
顔を合わせるのは少し怖いですけど……

ある日の朝、突然和尚さんが帰ってきました。
作務が終わってフリースタイルのお昼ご飯を食べている時です。
なんの脈略もなく和尚さんは言葉を発します。

「静寂、ずっとここにおれ」

桜

一瞬の出来事だったので反応できなかったのですが、私の存在を好意的に受け止めてくれているようで後から嬉しさが込み上げてきました。
すごい人に認められたような気がして、自己評価がおかしいくらいにあがってしまいます。

たぶん、この時に躁のスイッチが押されたのでしょう。
鬱気味だった私はこの時から二次関数のグラフような曲線を描いて気分が上がっていきました。

最初は鬱気味な自分から少々元気な自分になるだけなので良かったのですが。
だからこの頃が一番充実していたのかもしれません。

非常に短い期間でしたが、元気な若者としてお寺に貢献できたように思います。
和尚さんは一週間ぐらいでまたすぐにどこかへ旅立たれます。

どうやら阿隆さんが和尚さんの代わりを務めるみたいでした。
阿信さん、阿虎さん、阿海さんは4月から僧堂へ修行しに行くようです。

阿信さんは夜に急に「よし星を見に行こう」と言い出したりロマンティックな一面もありました。

阿海さんは映画が大好きで、毎週水曜日は修行が休みでその時に阿海さんが選んだ映画をいつもみんなで見ていました。映画選びのセンスが半端なく良かったのを覚えています。

そして、怖い人と思っていた阿虎さんは実はそうではなかったのです。

位牌を拭く作務がありました。
私と阿虎さんは数え切れないくらいの位牌を拭き始めます。
拭いても拭いても位牌はなくなりません。

全部終わらすことができずに昼ごはんの時間がきてしまいます。
とてもじゃないけどまだまだ終わりそうになかったです。

「昼からにしようか」

阿虎さんの言葉に私は二つ返事でご飯を食べにきます。
そして仲間たちと楽しく食事をして、すっかり位牌拭きのことを忘れてしまいます。

休憩だと思ってどこかへ出かけていて、帰ってきたら位牌が綺麗になって元通りに並んでいました。
私は阿虎さんに謝りに行きました。

「すいません、位牌吹きのこと忘れていました」
「ああ、いいよ」

とても呆気なく許してもらった、というより阿虎さんは全く怒っていなかった。とても優しかった。

阿虎さんと関わりを持てたのはこのことくらいだったので、私の大切な思い出として今は胸の中にしまってあります。

寺

4月になり、みんな僧堂へ行かれるとお寺の雰囲気が少し変わります。
まず人がいない……

阿隆さんはトップになり少し不安そうにしていました。
するとどこからか和尚さんが帰ってきます。

和尚さんは何か阿隆さんにアドバイスをしていました。
次に阿隆さんを見た時、謎の自信に満ち溢れていました。

和尚さんの知り合いのお寺を掃除に行く話が出ます。
お寺の総人数が少ないのもあって、私も選ばれました。

次の日の朝早くに私たちは掃除をするお寺へ向かいました。
知り合いのお寺はお坊さんと奥さんのふたりだけしかいません。
ふたりではとても掃除できないほど広いお墓がありました。

掃除を始める前、とても若くて可愛らしい女性がお墓参りをしているのを、私たちは目にします。
その女性が去った後、和尚さんは私に禅問答のようなことを聞いてきました。
「さっきの女性を見てどう思った?」

私は突然の質問に動揺しながらも答えます。
「若いのにお墓参りするなんて偉いなって」
「違う」

和尚さんは自信満々に「こうだ!」と言い放ちました。
「かわいい〜」
和尚さんは竹ぼうきを抱き締めていました。

竹ぼうき

二十歳の私はそれはもうびっくりしてしまって、声すら出ませんでした。
な、なんだこの和尚は……というのが当時思った本音でした。
今から思うと感じたことを感じるままに表現されただけ、なのでしょう。
ありのままをそのまま受け止めよ、ということだったと今は理解しています。

掃除は大変でした。
どこまで行ってもお墓で、段差もたくさんあり掃除が終わったら日が暮れかけていました。

寺に帰ってまたしばらくしたら和尚さんはどこかへ行かれてしまいます。
本当に今思っても不思議な和尚さんです。

感じたことを感じるままに。

以上、和尚さんの教えでした。
次回からはだんだん躁転していきます。お楽しみに。

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