お寺 ひきこもり 双極性障害

【見学編】ひきこもりだった私が禅寺へぶち込まれた話(1)

お寺

私が二十歳〜二十一歳の時の話です

こんにちは。静寂です。
タイトル通り私は若い頃に禅寺へぶち込まれたことがあります。
期間は6ヶ月ほどだったでしょうか。もう20年以上も昔の話です。
もしよかったら私の思い出話にお付き合いください。

不登校から復帰してなんとか高校を卒業した私はフリーターをしていました。
しかしバイト先で人間関係がうまくいかない、仕事ができない、同僚に溶け込めないなどの複数の要因により半年以上続くことはありませんでした。
自分の部屋にひきこもるようになって親は何かしなければと思ったのでしょう。
母方の叔父さんの家の近くに住み込みができるお寺があるから行ってくるように言われて、とりあえず見学に行ったのを覚えてます。
その時の私に断る権利はありませんでした。

いやいや見学に行ったのは雪がちらつく冬で確か2月の終わり頃でした。
山のふもとにあるお寺が禅寺だということすら、当時の私は知りませんでした。
というか、禅というものも知りませんでした。
座禅とか作務とか典座とか全く知らなかったです。

正門がどこにあるのかわからずうろうろしていたら「ハーイ!」と外人のお坊さんが声をかけてきました。
鼻がとても高い青い目をしたお坊さんです。
彼は泥だらけでした。
まるで工事現場に勤める人のような身なりでした。
青い目をしたお坊さんは自分についてくるように言っているようで、私はなんの疑いもなくついて行きます。

正門ではない入り口へ案内されると彼が泥だらけだった理由がわかりました。
お寺の石畳を作っているようでした。
道は穴ぼこだらけで、私は端の方を歩いて行きます。
「君が静寂くんだね。待ってましたよ」
お年を召した日本人のお坊さんが私を向かい入れてくれます。
「わたくし阿信といいます。よく来られましたね」
丁寧に向かい入れられて、ひきこもりだった私はとても嬉しく感じました。

お寺の周りはとても静かで気持ちが安らぎました。
庭は工事中でなんとも言えませんでしたが、本堂は古びて落ち着いた感じがしました。
よく見ると青い目をしたお坊さんがもう一人いました。
「二人とも外人さんですか?」
阿信さんがすぐに答えてくれます。
「二人ともドイツ人ですよ。最初に会った方が阿海、そこにいるのがゴードンですよ」
名前からして阿海はお坊さんで、ゴードンはお坊さんではないようだった。
兄弟にしては似てないし、訳がわからなかった。

「和尚は今留守にしてまして、わたくしが代わりにお寺を案内しますよ」
阿信の案内でお寺の中を回る。
本がたくさん置いてある土間、横には台所、庭の滝が見える滝の間、本堂と回る。
本堂にはとても大きな涅槃図が飾ってあった。当時の私は涅槃図など知る由もなく、大きな絵が置いてあるな、くらいだった。
「いい涅槃図だろ」
急に後ろから声をかけられ、びっくりする。
日本人のお坊さんだった。
「彼は阿虎さんと言って私とも歳が近い方ですよ」
阿虎には何か鋭いもの感じざるを得なかった。
最初は怖かった。

清めの水

外に出ると敷地内に普通の家が建っていた。なんでも和尚さんの家だそうで、中には入らなかった。
外へ行くと小さなログハウスが二つあった。
「ログハウスにはそれぞれ阿海とゴードンが使っているんだ」
山のふもとにあるから風も入ってきやすく、壁も薄くてとても寒そうな環境だった。
こんなところで夜、ちゃんと寝られるのだろうか。
「今度もっと大きいログハウスを建てる計画があるんだ」
阿信は得意げに話し出す。
そして竹林を指差し「あの辺りを切り開いてログハウスの禅堂を建てるんだ」とやけに強い口調で言い放った。
私は頷きながらもその周りにある横一列に並んだお墓が気になっていた。
「ああ、あれは歴代の和尚の墓だよ」
八個くらい並んでいたように思う。

それから滝の間から見える滝に案内される。
それは滝というより湧き水程度の流れだった。
でも庭がとても綺麗で滝とマッチした立派なものだった。
有名な方が作った庭だそうで、阿信はまるで自分のもののように自慢げに話した。
「畑も見てみるかい?」
私は首を縦に振る。
この時点で私は住み込みをすることに前向きな気持ちになっていた。

山道

畑はお寺の奥、少し山の中に入っていかなければ到達できなかった。
獣道を歩き進んだ先に広い畑が現れた。
いろいろ作っているようだったが、虫が気になって近くには寄らなかった。
「ここで作った野菜が食卓に出てくるんですよ」
自給自足のようなものなのか。
二十歳の私にはあまり響かなかった。

結局和尚には会えずに私は見学を終えた。
なんか面白そうな世界だなと当時は思っていた。

この時はズタズタに心が傷つけられてしまうなんてこれっぽっちも思ってはいなかった。

つづく

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