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タイトル未定の連載小説7

意気消沈

やはり何かがおかしい。
話は最初から決まっていたのではないか。
俺を追い出すための両親の連携プレイなのではないかと判断せざるを得なかった。
そんなに俺のことが嫌なら出ていってやるよ、という気持ちと施設と言えど世に出る恐怖とが俺の中で入り混じっている。
真昼に部屋を出て台所で皿を洗っている母に迫っていく。
「施設の話、やっぱり無理」
母は皿を洗う手を止めてこっちを振り向いた。
「お母さんにはこの家であんたが立ち直っていくようには見えないから、ああいうのを頼ったんよ」
確かに俺はどこまでいってもひきこもりでい続けるであろう。
「変わってみいひんか?」
「施設に行っても……おんなじや」
「あんたはまだ若い。可能性がある。このまま家にいてもその可能性が潰れていくだけや」
「俺にはなんの可能性もないよ」
「ある!」
「ない」
「ある!!」
「ないよっ!!」
俺は2階へ上がって自室に駆け込む。猫はどこかへいっていていなかった。
どうしてわからないのか。
可能性があればもう芽が出ているはずだ。
今回のことで可能性という言葉が心底嫌いになった。

施設の話も流れて俺の身の処し方は宙に浮いた。
最近は深夜のラジオすら聞く気が起きなくて、本当に何もしていない状態になっていた。
無気力の刃が俺の心をズタズタに引き裂いていた。
ご飯を食べに行かないことも多くなって、深夜に台所でインスタントラーメンなどを作って食べていた。
俺に未来はあるのかい?
当たり前だが誰も答えてはくれない。
自分がどうしたいのかもわからないし、何が正解かも全く検討がつかない。
働くよ、と言って働きに出たらいいのだろうか。
でもそれじゃ働けなくなったら、また同じ地点に戻ることになる。
根本的な解決などないように思えた。
もし解決できるとすれば、自殺することぐらいだ。
いつも同じようなことをずっと考えている。
何ひとつ答えを出せないものばかりだった。

久しぶりにラジオをつけてみた。
今日は火曜日、いつも楽しみにしていた彼女のラジオ。
驚くぐらいつまらなかった。
きっと俺に原因があるのだろう。
素直に楽しめない自分が申し訳なくて途中でラジオを消した。
出口のない世界で生きるのはもうたくさんだ。
何かいい案はないのか。
そもそも案すらない。
施設の案はもしかして良かったのかもしれない。
どうせ話が再燃したら行かないくせに。

苦しみはどこへ吐き出したらいいのだろう。
俺みたいな人間は苦しみを吐く場所さえ、与えられないのだろうか。
苦しみをなくすにはやはり「死」しかない。
問題は誰の「死」か、ということだ。

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