精神病院

私が精神病院に医療保護入院したときの話 〜大部屋移動してからのこと〜

燃える鳥

病人同士の難しさを実感する日々を送ることに

将棋の好敵手、おじいちゃん

初めてホールに出てご飯を食べたとき、怖くて仕方ありませんでした。

圧倒的多数の患者にビビりまくりで、恐怖心でいっぱいでした。

しかし、そんな日々も長くは続きません。

将棋盤が私を救ってくれます。

将棋をしているときは言葉は要りません。

対局が対話です。

引きこもっている間にネットで将棋ばかりしていた私は、閉鎖病棟の中で連戦連勝します。

少しいい気になっていたかもしれません。

そこへ60歳前後の男性患者さん(以後おじいちゃんと呼びます)が私の対戦相手に名乗りをあげました。

指してみると、今までの相手と全然違います。

今まで全勝していたのに、おじいちゃんとは五分五分だったのです。

おじいちゃんも私と同じ統合失調症の患者さんでした。

それから私はおじいちゃんとばかり将棋を指すようになりました。

勝負を重ねていくにつれて私の勝ちが目立ってきます。

おじいちゃんは私に対して苦手意識を持ってしまったようで。

「まいったなあ」とおじいちゃんはよく呟くようになり、だんだんと将棋を指さなくなっていって、おじいちゃんとも疎遠になっていきました。

後日談なのですが入院から三年後ぐらい経ってから、おじいちゃんと病院内ですれ違います。

私は挨拶をしましたが、おじいちゃんは硬い表情を全く崩さずに完全無視。

「あの人、状態悪いらしいよ」と後から聞いて、統合失調症って悪くするとコミュニケーションが取れなくなるんだと、怖くなったのを覚えています。

赤い山

三人組

ご飯を食べ終えてホールをうろうろしていたら、リズミカルに机を叩く音が聞こえてきました。

振り向くと患者さんの男の人がふたり机を叩いてリズムをとり、女性が歌を歌っていました。

すごいな、と思って近づいていくと三人組の女性が「解散!」と言ってみんなバラバラの方向に散っていきます。

そのときに三人組に目をつけられたのかもしれません。

三人組のそれぞれの特徴はというと、女性はかなり偉そうな感じで声をかけようと思えない感じ。男性は小太りとメガネでした。(ざっと言いました)

大部屋で隣同士になったのをきっかけに私はメガネと仲良くなりました。

話してみると意外にいい人で、社長の息子で経営の勉強をするための本がベッドサイドにいくつも置いてあります。

当時の私は26歳でメガネは少し年上だったように記憶しております。

メガネが持っている本の中に「人を動かす」という本がありました。

私はその本を見て気持ち悪くなります。

なんだが自分がメガネに動かされようとしているようで、とても嫌でした。

私は決してメガネの思い通りにはならないと心に決めます。

朝日か夕日か

閉鎖病棟で好きな人ができる

同い年の女性患者と仲良くなり、事件が起こる

「裸足なん?」

急に患者の女性(A子さん)に話しかけられて私はびっくりします。

「うん、暑がりやし」

「そうなん」

そんな何気ない会話からA子さんと仲良くなっていきました。

A子さんは偶然にも私の同じ年齢の26歳でした(当時)

なんとも言えない不思議な魅力がありました。

A子さんを気になっていることを、私はメガネに話します。

そして事件は起きました。

その夜、私はいい感じで眠りに付きました。

まだみんな活動してましたが、早く退院したかったので早めに寝ました。

その時です。

「起きろーーーーー!」

メガネのドスの効いた声で私は目を覚まします。

何が何だかさっぱりわかりません。

「A子が大変な時に何しとるねん!」

残念ながら、ここから先は全く覚えていません。

あとで看護師さんに聞いても「忘れてください」の一点張りでした。

A子の話によると「三人組にやられた」とのことでした。

いまだによくわからない事件で、まあ閉鎖病棟にはつきものかなと思います。

この件で私は安眠している途中で起こされたせいか、状態が不安定になりました。

そしてメガネは強制的に私の隣から、どこか違うベッドへ移されました。

哲学の木

事件後は、また平和に

三人組は状態が良いせいか、すぐに退院していきました。

私がメガネを避けると、メガネは「なんでやねん」と言ってました。

私に残ったメガネの印象はドスの効いたヤクザのような声だけでした。

メガネは人を動かすことができたかどうかは、私は知りません。

続く

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