精神病院

私が精神病院に医療保護入院したときの話 〜退院〜

蓮の葉の水滴

とにかく早く退院したかった

新しい女ボスが現れる

これだけ閉鎖病棟ライフを楽しんでおきながら、私は早く退院したくてたまらなかった。

人が多いと疲れてしまうのが全てかもしれない。

ホールの一番目立つ席に平安時代の姫のような女の人がいつも座るようになっていた。

いつの間にかその女性が閉鎖病棟のボス的な存在になっていた。

女ボスの隣には禿頭のジジイがいつも座っている。

右腕、といったところか。

別に何をしているわけではないのだが、とにかく閉鎖病棟は暇だった。

入院したことがある人ならわかってもらえると思う。

女ボスは変に強く当たってきた。

「君は私と同じ病気らしいね。しょーもな」

なんとなく三人組を思い出しながら、あまり関わらないようにしていた。

女ボスは調子がいいのか、どんどん影響力を広げていく。

ご飯を食べにホールの出るのが嫌になってきたのはこの頃だ。

根

退院が決まる

そんな中、私の退院日が決まった。

いろいろな経験ができて、今を生きる礎を閉鎖病棟で築けたと本気で思っている。

だってずっと引きこもっていたから、人間関係なんて皆無だっだから。

正直、いろんな女性と話せて楽しかった。ただ女ボスを除いては。

そして私は被害妄想に取り憑かれる。

禿頭のジジイが私のことを探っているように思えてきたのだ。

家族と面会していたら面会室の扉を開いてきたり、女性と話していたらチラチラ見てきたり。

妄想から疑いに変化し、やがて確信へ変わる。

ある日、禿頭ジジイが横を通る時、私は噛み付いた。

「なんで私を見張ってるんですか?」

今思うと被害妄想でしかない。でもその時は本気で被害にあっていると思っていた。

「わしなんもしてへんがな」

それから押し問答になり、女ボスの耳にも届く。

何か言われていたようだが、私は女ボスや禿頭ジジイから物理的にも距離を取る。

ご飯を食べたらさっさと部屋に戻り、部屋から出なくなった。

退院前なのに状態が悪くなっていた。

朝日か夕日か

それぞれの道へ

私はデイケアに戻ることに

実は半年ほど治療を受けてデイケアに通ってから、急変して閉鎖病棟へ医療保護入院になっていた。

そしてまた一からデイケアに通うことになった。

担当も同じ人でほっとしていた。

私はこの入院をきっかけに社会復帰への道を歩むことになる。

退院日、女ボスに退院することを気付かれてしまう。

女ボスは私の方へ近づいてくる。

何か嫌なことでも言われるのかと思いきや……

「退院おめでとう」

カウンセリング

私は自分を恥じた。

閉鎖病棟に敵も味方もなく、みんな精神病という名の病魔と戦う戦友だったのだ。

「うちもすぐに退院するから、お互い頑張ろう」

女ボスは明るい表情で、爽やかに別れを告げた。

イチョウ

それから10年後の出来事

私は女ボスの名前も知らないまま別れるわけだが、10年後に驚きの再会をすることになる。

私は同じ病院の閉鎖病棟へ、その時の友達の面会に行っていた。

友達は元気そうで、もうすぐ退院できそうなのでほっとする。

その時、友達の後ろの方で暴れている患者さんがいた。

10年前に閉鎖病棟で女ボスをしていた女が、明らかに状態が悪くなって、そこにいた。

私は震え上がった。

統合失調症の真の恐ろしさを、この時知った。

一生の病気だと、肌で感じた。

日

統合失調症とは共存していく必要がある。

調子がいい日も悪い日も

私は統合失調症と共に歩んでいこう。

統合失調症を味方につけるまでの境地を目指して。

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