精神病院

私が精神病院に医療保護入院したときの話 〜入院中の様々な出会い〜

碧

三人組がいなくなった後

閉鎖病棟はとにかく暇!

目の上のタンコブのような存在だった三人組が退院していなくなると、また新しい患者さんがどんどん入院してきました。

A子さんも退院して、私はとにかく暇をしていました。

暇で暇で仕方なかったです。

閉鎖病棟を感じ一文字で表すと間違いなく「暇」です。

最近よくホールで話をするB美さんも暇そうにしていました。

私はよくB美さんと話をするようになり、他愛のない話で暇を潰していました。

暇な時間に部屋の外へ出ると、どこからかB美さんがやってきて四六時中話していました。

なお、内容は全く覚えていません。お話をしていたことははっきりと覚えているのですが。

B美さんはC子さんという演劇をされている方を紹介してくれます。

私は小説を書いていたのでC子さんに見てもらう運びになりました。

C子さんからの意見が、今までにもらったことのない鋭い指摘で驚きました。

C子はとてもミステリアスな人物で、異性としてよりも表現者・アーティストの側面に私は惹かれていきます。

C子は既婚者でリストカッターでした。

手首にはいつもリストバンドがあって傷は見えませんでしたが、本人はあっけらかんと自分がリストカッターであることを話します。

C子とは徐々に仲良くなっていきます。

退院してから会いたかったのですが……今回はC子との出会いの話までに留めておきます。

雪

病んでいる男性看護師との話

最初の接触

キュルキュルキュルー

お薬を乗せた台のタイヤからいつも変な音がしていました。

だから大部屋でカーテンをしていても、看護師さんがお薬を持ってきたとすぐにわかります。

夜にお薬を持ってくる男性看護師Dさんは普通といえば普通でした。

状態が良くなってきた私は許可を得て散歩をしていました。

調子が良かったので駅の方まで行ってみました。

うろうろしていてなんとなく気になって駅を覗きます

駅のベンチに座っている人影に見覚えがあるような気がして……

そこには暗い表情の男性看護師Dさんがいました。

とても声をかけることができませんでした。

そこにはお薬を配る普通の男性看護師の面影はありませんでした。

私は逃げるようにその場を離れます。

日

精神科の看護師として

その日の夜のお薬の時間、男性看護師Dさんは普通の看護師としてお薬の乗ったワゴンを押していました。

キュルキュルと変な音を出しながら、私のベッドサイドまでやってきました。

「散歩ができる範囲、超えているんとちゃうか」

どうやら駅にいたところを目撃されてしまっていたようです。

私は近くの公園までしか散歩が許されておらず、罰として次の散歩は看護師同伴になります。

そして散歩に出たいというと、同伴する看護師はDさんでした。

「散歩ができる範囲はこっから、ここまでやで」

言うことを言ったあと、彼は今まで見せたことのない顔になります。

東尋坊

「毎日、楽しいか?」

ここでいろんな人と話せるのが楽しいです、と答えると……

「俺、もうこの仕事嫌やねん」

そんなにはっきり嫌と思われているとは、すごくびっくりしました。

「みんなおかしいねん。こっちまでおかしくなる」

まあ、精神病院だからなあ。気持ちはわかるけどなあ。

Dさんは本当に辛そうでした。

精神科の看護師ってこれほどまでに過酷なものだと初めて知りました。

赤闇

ワゴンがキュルキュルといわない

その晩、いつものようにB美さんと廊下で話していました。

「薬もらうまでは部屋で大人しくしよう」

男性看護師Dさんから謎の指令を受けます。

私は大部屋に戻り、薬が運ばれてくるのを待ちます。

なぜかいつもより来るのが遅くて、私は痺れを切らしていました。

「キュルキュル」というワゴンタイヤの歪んだ音はいつまで経っても聞こえてきません。

私は廊下に出てB美と話がしたかったのです。

でも我慢して待つことにします。Dさんとの約束を破る気が起こらなかったのです。

あまりに遅いので私は廊下まで様子を見にいきます。

そこにはワゴンをゆっくりゆっくり押すDさんがいました。

「ちゃんと待っとけよ、ワハハ」

ワゴンをゆっくり動かして歪んだ音を出さずに私に近づいてきているDさんは、なんだか楽しそうでした。

湖

そのあと、私が入院している間はDさんは勤務されていました。

私が退院したあとDさんを見ることはありませんでした。

Dさん元気にしてるのかなあ?

続く

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